東京都渋谷区の介護付有料老人ホームから評価のご依頼のあった女性入居者の事例をご紹介します。「理学療法士のS.Kです。本日は、施設職員さんから以下のようなご相談がありました。」
最近、車椅子の上で頸が折れ曲がってしまうことが多く、体幹が前に曲がることが大きく車椅子から滑り落ちることもあるとのことでした。昼夜逆転傾向にあり、日中、顔は下を向いて舌が出たまま、うとうとしていることが増え、介護職員さんは姿勢が崩れやすくなっていることも気にされておられました。
居室を訪問し、ご様子をうかがうと、ベッドで寝ている際も、首をはじめ、全身に力が入りやすくなっていました。確かに、車椅子ではうとうとしており、下を向いたまま顔をなかなか上げられませんでした。
ベッドで寝ている際、首が曲がったままで、なかなか枕に頭をつけることができませんでしたが、左右の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん:後頭部耳の後ろから鎖骨の内側にかけてつながっている太い筋肉)のリラクゼーションにより、枕に頭をつけることができました。
円背(いわゆる猫背)について、骨の変形が一番影響しているわけではなさそうなので、ベッドに入っている際にでも筋肉のリラクゼーションを図っていけると良いと思います。首に関しては、筋肉が短縮してしまわないように、ベッド上で頭を枕に付けられない時は、首の筋肉をゆっくりマッサージすることをおすすめしました。
ベッドで就寝の際、入眠時でもリラックスできるよう、膝と膝の間にクッションを挟んだり、マットレスを少し柔らかめのものに変更してみることを提案しました。
車椅子に座っている際は、クッションを脇の下に入れ、できるだけ体幹が前に曲がることを抑えていくと良いとお伝えしました。クッションを入れてはすぐ外すような仕草が見られましたが、しばらくそのままでいると落ち着かれていました。少し様子を見られて難しいようでしたらクッションの変更も検討していただくことを合わせて提案しました。