埼玉県さいたま市のサービス付高齢者住宅から評価のご依頼のあった女性入居者の事例をご紹介します。「理学療法士のU.Tです。本日は、数か月ぶりに女性入居者さんの居室を訪問し、評価を行いました。」
「車いすから落ちそうだ。ここのところ急に体が傾きだしたから、みられるのが恥ずかしくて押してもらってる。」とのことでした。
ベッドの端に腰かけて座った姿勢では右側に傾きまっすぐは困難で、車いす上でも右側に傾いて座られていました。車いすの幅が広く体の傾きを矯正出来ておらず、背部、特に左の筋肉が硬く背骨の可動性が低下し、左へ傾けることが困難な状態でした。
背骨の著しい曲がりはなく、近日の寒さで背部の筋肉の硬さが強くなられたことと、そもそも右に傾いて座られることによる影響が大きいと考えられました。
車いすの不適合、体のメンテナンス不十分といった点が問題と考えられました。
可能であれば、外部から入る訪問マッサージなど他動的にメンテナンスを受けることが望ましいことと、移乗動作を介助していただき右側に寄って車いすに座るよう努力してくださいとお伝えしました。
タイミングをみて車いすとクッションを変更することをお勧めしました。車いすは背張り調整が可能なもの、クッションは左右で厚さの調整ができるものが良いことと、車いすのハンドリム(自分で車いすをこぐ際に握る車輪の外側にある輪)は波型がないと駆動困難になるので、もし波型がないタイプを選ばれた場合は、滑り止めをまく必要があることをお伝えしました。
なかなか移乗動作の介助は難しいと思いますが、入浴後のケアの際に、①後方から両座骨(骨盤のいちばん下、先端のとがったところの骨)を支える、②右奥に座るように方向を介助してみることをアドバイスしました。また、見当識が低下しているため時系列をさりげなく整理してコミュニケーションをはかることも良いとご説明しました。