東京都品川区の介護付有料老人ホームから評価のご依頼のあった女性入居者の事例をご紹介します。「理学療法士のK.Yです。本日は、入居契約の前に体験入居をされている女性の居室を初めて訪問しました。」
昔、田植えや裁縫を頑張ってされていた時期があり、その頃は腰が曲がって大変だった。それでも、身体を動かすことは昔も今も好きと明るく仰っていました。
首下がりの姿勢(顔を持ち上げてまっすぐ前を向くことができない、首が前に曲がり、体幹に対して頭部が前に曲がっている)をされていましたが、椅子やベッドの端に足を下ろして座った姿勢では背筋をのばし、正面を見ることができていました。 何度か繰り返し同じお話をされることがありましたが、コミュニケーションは問題なく取ることができていました。
姿勢は右に凸に曲がり、前に傾いていましたので、この姿勢不良から、視線が下向きになりやすくなっています。手すりや目標物に気づきにくいことがあり、わざわざ遠いところに手を伸ばそうとしたり、手すりを掴まなかったり、といったことが何度かありました。歩行時の特徴として注意が必要と思われました。また、立った状態でのバランスに不安があり、前傾姿勢でもあるので前方への転倒には注意が必要です。
完全に正面を向けるようになることは難しいと思いますが、少しでも曲がったり前かがみの姿勢を予防するために背すじを伸ばす運動は非常に効果的なので、その方法をお伝えしました。
ベッドからトイレまでの導線が、伝い歩きをするには離れており、途中で何も伝うことなく歩く様子がありました。また、排泄終了後、ベッドに戻るときも同様で洗面台からベッドに移動するところで、手が離れているので居室の椅子の設置やタッチアップバーの設置をご提案しました。
歩行中は、前方に突進する可能性があるので、真横や少し前方からの介助が望ましいことをご説明しました。