千葉県船橋市のサービス付高齢者住宅から評価のご依頼のあった女性入居者の事例をご紹介します。「理学療法士のN.Kです。本日は、しばらく病院に入院されていた女性入居者さんの居室を訪問し、評価を行いました。」
退院後の再評価を行いました。「筋力がなくなった。乗り移りするときに、職員さんに以前より重たいと言われます。」とのことでした。
左足で立ち続けることが入院前よりも困難になっており、乗り移りの時に足を踏みかえると膝が曲がり抱き抱える必要がありました。ベッドから立ち上がるときに、右手で過剰に手すりを引っ張るため、右側に倒れ込み、立ち上がりがさらに難しく、車椅子に臀部を向けることが大変でした。足によって支える力と体幹を動かす力が低下しており、起居、移乗介助量増加していました。左足の支える力を回復させることは、半月板損傷の影響でかなり厳しいため、右手右足の筋力や体幹を動かす力が回復するまで、介助や環境の変更が必要と考えられました。
長期間にわたりベッドで寝ていたため、足(特に左足)の筋力低下と脊柱の柔軟性低下が問題でした。感覚が鈍り、体の中心の認識や体と着座する椅子との位置関係の把握の歪みも確認されました。
現在利用中の通所サービスでの運動療法を継続し、まずは筋力の回復に努めることをおすすめしました。また、極力ご自身で右足を踏ん張って乗り移りすることの重要性をお伝えしました。体の柔軟性を回復するために、なるべく日中は車いすに座って過ごされることも合わせておすすめしました。
移乗動作でご本人に主体的に動いていただくため、介助手すりの角度を変更し、右手でつかんでいただけるようにしました。車いすクッションが褥瘡(床ずれ)対応になっておらず痛みを助長し離床時間の減少をまねいていましたので、空気タイプの厚目のクッションへご変更をお願いしました。
ベッド上方への移動はやり方次第ではご自身でも可能ですが、念のため右足がベッド上で動かないように足首を押さえる介助をしてみてください。しっかり左に横向きになり膝がベッド縁ぎりぎりに、体幹は右手が動かしやすいよう、柵に手が届く程度でスペースを広くとり、頭を膝に近づけるように声をかけながら介助すると後方に突っ張らずに介助できることをお伝えしました。